最終更新日 2007年3月7日
平成19年2月5日
長岡市長 森 民夫 様
長岡市中心市街地構造改革会議
座長 田村 巖
中心市街地の構造改革からみた行政機能再配置に関する意見書
平成16年3月の「長岡市中心市街地の構造改革に関する提言」以降、長岡を取り巻く状況は大きく変化してきた。まず、思いもよらなかった中越地震の発生は、長岡市の全域に想像を絶する被害をもたらすとともに、都市構造物はもとより、都市機能そのものの耐震性という大きな問題を露呈させた。さらに、現実となった市町村合併により、市域は従来と比較にならないほどに拡大し、広域都市圏での中心市街地の重要性を再認識させられるとともに、その再整備が以前に増して求められるようになった。
平成18年3月に策定された「長岡市中心市街地地区都市再生整備計画」は、「長岡市中心市街地の構造改革に関する提言」を踏まえ、リーディングプロジェクトと位置づけた事業を現実のものとし、構造改革事業を推進する計画となっている。一方では、平成18年7月、長岡市行政機能再配置検討市民委員会において、「市役所本庁舎は、誰もが利用しやすい中心市街地へ配置されることが望ましい。コストを極力抑えながらも、長期間にわたり利用できる、市民の誇りとなるような庁舎を整備することが望ましい。庁舎は一括配置、分割配置どちらも可能であるが、まちづくりの観点から、最適な配置を検討する必要がある。」との中間報告が提出されている。
長岡市中心市街地構造改革会議では、こうした背景を踏まえて議論を重ねた結果、中心市街地構造改革事業を推進するうえで、下記の点に留意し、提言の実現に向け、中心市街地において行政機能の再配置を進めるよう意見書として提出する。
記
1 まちの「賑わい」は人が集まり、人と人が交流するところから生まれる。新市の発展を担う中心としての市役所庁舎は、市民と市議会・行政との交流の場であり、開かれた市役所、市民との協働の場であるべきである。
2 行政機能の分散配置は、市街地再開発事業を促進することとなり、ひいては民間活力の活用によるコスト低減に資するものであり、中心市街地の都市資産の再生につながる。したがって、市役所本庁舎は、一括配置するのではなく、厚生会館地区、大手通中央地区市街地再開発事業地区、表町地区再開発事業予定地区に分散配置すべきである。
3 交通問題については、単に駐車場整備にとどまるのではなく、公共交通の有効活用策の検討、パークアンドバスライド等有効かつ効果的な交通政策についての検討が必要である。
(留意点の整理)
1 開かれた市役所、協働の場
厚生会館地区に配置する市役所庁舎は平成の公会堂及び屋根つき広場との一体的な施設として、また、再開発事業地区に配置する市役所庁舎は、市街地再開発事業で創出される多機能(商業機能や学習機能等)との複合施設として整備し、単に庁舎が中心市街地に立地するのではなく、行政機能が街に溶け込むことにより、より身近な、開かれた市役所が実現するとともに、市民と議会・行政が隔たりなく協働の場を構築できる環境づくりにつながるものと考える。
2 行政機能の分散配置
「長岡市中心市街地の構造改革に関する提言(H16.3)」は、郊外分散した都市機能のまちなか回帰、新たなまちなか型公共サービスの導入を活性化のキーワードの一つとして提言している。
行政機能の中心市街地への再配置は、この提言に沿うものである。中心市街地構造改革は、厚生会館地区再整備のみではなく、民間活力の活用と市街地全体の再整備が一体的に行われることが必要であることから、新たなまちなか型公共サービスをリーディングプロジェクトとして位置づけた2つの市街地再開発事業等へ導入することを提言している。この点から、分散型市役所は市街地再開発事業の促進につながるものであり、コスト削減にも資するものである。
なお、分散配置された行政機能が効果的に機能しつつ、市民に開かれたものとするためには、中心市街地を歩いて移動しやすいまちとするハード面の整備はもちろんのこと、情報ネットワークの整備、市民に対するサービス内容の再考など、ソフト面でのインフラ整備が肝要である。
また、庁舎等の整備工事に伴う一時的な交通規制や騒音・振動等により、結果的に中心市街地の空洞化を促進させることにならないよう、工期の調整や継続的なイベント開催等の工夫が必要である。
3 交通問題(駐車場整備、交通アクセス)
中心市街地の特性の一つに、公共交通機関の結節点であり、自動車交通に頼らない年齢層にとって非常に便利な場所であるという点が挙げられている。この点から考えると、中心市街地に立地する市役所も、郊外施設立地のような自動車交通のみを前提とした施設整備を想定すべきでない。しかしながら、行政機能再配置における議論、多くの市民意見等を踏まえた中、駐車場整備も含めた、交通アクセスの改善とパークアンドライド等公共交通機関の活用方策等の十分な検討を早急に行うことが必要である。
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