民間企業と障害者の橋渡し役に―。
市は5月から、企業側の視点を加えた障害者雇用を促進するため、商工部に「障害者就労支援推進員」を配置しました。障害者の実習先企業の開拓や雇用を考えている企業の相談に取り組んでいます。
障害者と企業、それぞれに最適な就労とは。マコー(株)※で障害者雇用に携わる小倉麗(うらら)さんと、障害者の自立を就労・生活の両面で支援する障がい者就業・生活支援センターこしじの永井達也さんが、坂井隆・障害者就労支援推進員(以下、推進員)とともに今後の“障害者雇用”を探ります。
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推進員 就任から5カ月、支援機関と協力しながら50社以上に聞き取りや訪問をしてきました。話を聞くと、障害者雇用に漠然とした不安を抱いている企業が多いように感じます。
永井 その不安を取り除く方法の一つが、短期間の職場体験をしてもらう“事前実習”です。
小倉 実習で一人ひとりの個性を知ることで、企業としても、その人の力を発揮できる環境をスムーズに整えることができます。当社では、障害のある社員に庶務や部品製造など、それぞれの個性に合わせた仕事をしてもらい、いきいきと働いてもらっています(上写真)。
永井 私たちだけでは実習先企業の開拓まで手が回らないこともあったので、推進員から企業回りをしてもらい本当に助かっています。
推進員 今、10社から実習の協力を得ています。これからも、前職(民間企業の人事担当)での障害者雇用の経験を活かし、企業から「坂井さん、ちょっと来て教えて」と言ってもらえるようなつながりを築いていきたいです。
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永井 障害のある社員への心配りで、職場の環境や雰囲気が良くなることもあります。
小倉 当社では、障害のある社員と仕事をうまく分担しようという意識が高まり、結果的に効率化が図られて「働き方改革」につながったんです。業務の相性がマッチすると、周りが目を見張るほどの成果を出してくれます。
推進員 確かに、“戦力”と考えると「障害者雇用の見方が変わった」という声を聞きます。
小倉 障害のある人にとって、職場でコミュニケーションや成長を実感することで、精神的な自立にもつながっているようです。 |
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永井 私たちはこれまで、“福祉の視点”が中心でしたが、推進員からの“企業側の視点”で、より実態に即した支援ができるようになりました。今後も緊密に連携していきます。
小倉 企業の事情を熟知した推進員に仲介してもらうことで、私たち企業側のニーズを踏まえた障害者雇用が期待できると思います。
推進員 障害のある人と企業の双方に最適な雇用のため、ぜひ多くの企業のみなさんから声を掛けていただき、私も足を運びたいです。 |