特別対談 “違い”をパワーに!

世界とつながるまちづくり
国際交流センター「地球広場」の挑戦

 市内に住む外国人の支援や異文化交流の場として、多くの人が利用する国際交流センター「地球広場」。このたび、長年にわたりセンター長を務めた羽賀友信さんが逝去されました。
 羽賀さんが生前、高校生平和大使・西脇さんに語った、同センターに込めた思いを紹介します。
【問】国際交流課☎39・2207
対談は昨年12月に行いました
第27代高校生平和大使
西脇 あかりさん

 現在長岡高校3年生。中学生で市国際交流協会主催の国際交流プログラム「ワールド・リーダーズ・セミナー」、高校生で姉妹都市である米国・フォートワース市での多国籍合宿を経験。昨年度は、高校生平和大使の新潟県代表、高校生の市民活動団体「WA!!」の代表を務めた。

長岡市国際交流センター「地球広場」
センター長(当時) 羽賀 友信さん

 長岡出身。イスラエルなど60カ国以上を遍歴し、難民支援活動に従事。昭和54年には、日本政府初の国際救急援助活動に主任調整員として参加。帰国後は長岡を拠点に、多文化共生社会を目指した地域づくりや人材育成に力を注いだ。
スイス・ジュネーブにある国際連合欧州本部でのスピーチ(昨年8月)。世界平和への思いを訴えました
国際交流協会が主催するプログラム「ワールド・リーダーズ・セミナー」。国際的に活躍する人物から話を聞くなどして、将来の夢をかなえるヒントや進路を考えるきっかけをつくります


令和4年から中・高校生向けに行う「ほうかご国際文化部」。“学校帰りに気軽に英語でトーク”が合言葉です
羽賀 西脇さんとの出会いは5年前。米百俵財団主催で、私が塾長をしていた連続講座「米百俵未来塾」に参加してくれましたね。
西脇 当時は直接お話しする機会が少なく〝校長先生〟のような少し遠い存在でした。私の中で距離が縮まったのは3年前に参加した「ワールド・リーダーズ・セミナー」です。東京に向かう新幹線の車内で、遠くに見える富士山の写真を撮っていたら、羽賀さんが「自分の席からよく見えるから、こっちにおいで」と言ってくれて。そこからは〝おじいちゃん〟みたいな存在です(笑)。何かあるたびに地球広場に行って、羽賀さんに話を聞いてもらうようになりました。

多様性を認め合うまちを目指して
羽賀 地球広場は、誰でも気軽に立ち寄って国際交流ができる場所です。国籍や文化が異なる人たちが互いの違いを認め合い、誰もが暮らしやすく活躍できる「多文化共生」のまちを目指して、平成13年に立ち上げました。
西脇 留学生が母国を紹介するイベントを開いたり、市民ボランティアが外国人に日本語を教えたりしていますよね。運営する上で大切にしていることはありますか。
羽賀 「相手の価値観を理解する」ということ。たとえ違うところがあっても、出会う人ときちんとコミュニケーションをとり、より良い関係を築いてほしい。そんな思いで取り組んでいます。

実践型の学びで学生を応援
西脇 昨年、全国から高校生が集まる平和大使の活動に参加しました。当たり前ですが、一人ひとりの考え方や経験してきたことは全然違うんです。そこをお互いすり合わせて、世界平和に向けてできることを見つけていく。とても魅力的な活動でした。
羽賀 長岡の未来を担う学生のみなさんには、どんどん海外と接点を持って、いろんな体験をしてもらいたいです。地球広場は、JICA(国際協力機構)や大学と連携して海外協力隊員や留学生を学校に派遣・講義をしています。併せて、学生が学校の外でも異文化を学べる〝社会教育〟の場を積極的につくっています。学校帰りに留学生と交流できる「ほうかご国際文化部」のように、学校教育で得た知識を実践の場で楽しく活用し、視野を広げていってほしいです。
西脇 校外の活動で出会った仲間は、興味や関心を共有している〝同志〟。これからの人生を豊かにしてくれる気がします。私が所属する「WA!!」は、長岡での多文化共生社会を目指し、国際交流イベントを企画しています。昨年8月に市内の高校生と留学生で行ったスポーツレクリエーションでは、言葉の壁を越えて楽しく交流できました。
羽賀 体験を通して連帯感を高めていく。次の交流につながりそうな、すてきなイベントですね。

国際交流×異分野挑戦は今後も続く
羽賀 西脇さんに負けないくらい、地球広場もチャレンジし続ける場所でありたいですね。日本で暮らす外国人の数が増え続ける中、取り組んでいきたいのが相談体制の強化。今は生活相談に特化していますが、仕事などの相談にも対応することで、長岡を外国人から選ばれるまちにしていきたいです。加えて、国際的な視点を地域づくりや観光といったさまざまな分野に活かす。長岡と海外の文化が混ざり合って、より魅力的なまちができると思います。
西脇 グローバル化が進む中で、異文化という〝違い〟をパワーに変える。そうして、長岡がもっと発展していくといいですね。



今年度、地球広場に外国人の雇用・就労に関する相談窓口を試行的に開設します。➡予算P6

羽賀さん、ありがとうございました

 2月3日に74歳で逝去された羽賀さん。中越大震災の際は外国人被災者の支援に尽力しました。
 また、NPO法人「市民協働ネットワーク長岡」や、震災の経験を活かして国内外の被災地を支援する「チーム中越」の代表も歴任。市教育委員としても4期16年間活動するなど、幅広い分野で長岡に貢献した羽賀さんに、心よりご冥福をお祈りします。
中越大震災の際に設置した「多言語支援センター」。外国人被災者に多言語で情報発信する仕組みは、全国のモデルとなりました