かつて江戸幕府が所有した鉄製の蒸気船・順動丸。長岡藩第12代藩主・牧野忠訓(ただくに)や河井継之助、そして坂本龍馬や勝海舟などの幕府の要人らを乗せ、輸送船として幕末の海を航行しました。戊辰戦争下の慶応4(1868)年、寺泊沖停泊中に新政府軍の軍艦から砲撃を受け、現在の佐渡汽船寺泊港付近で自爆しました。それから155年−順動丸の外輪を動かしたシャフト(軸)は今も寺泊で大切に保管されています。
市指定文化財である順動丸シャフトの歴史を未来に伝えるため、市は7月から保存処理を開始しました。脱塩・防さびの処理を行い、劣化を食い止めます。技術指導者に東北芸術工科大学(山形県)教授・伊藤幸司さんを迎え、トレハロース(糖類)を使った最新の手法を採用。将来にわたって細やかにケアできるよう、専門家の指導を受けて長岡での技術継承を目指します。
処理後のシャフトは、広く展示などに活用。地域の貴重な文化財とその歴史を未来へつなぎます。
処理後のシャフトは、広く展示などに活用。地域の貴重な文化財とその歴史を未来へつなぎます。
【問】科学博物館 ☎ 0258-32-0546